今日もAI業界は動きが速い。最近は「AI企業の株を買う」だけじゃなく、AIで資産配分を決める運用商品や、AIチップの製造装置に投資するETFまで出てきた。AI投資の主戦場が、ソフトウェア企業から運用会社、製造装置、証券プラットフォームへ広がっている。
今回気になったのは、FOLIOのAI運用戦略「ROBOPRO」を使った新しい公募投資信託だ。さらに、AIチップの製造装置に投資する米国ETF、香港・グローバルAI ETF、韓国のAI投資プラットフォームも相次いで動き始めている。
派手なテーマに見えるけれど、商品設計を読んでみると、狙っている場所はそれぞれかなり違う。
ROBOPROのAI運用戦略を公募投資信託へ
FOLIOは、SBI岡三アセットマネジメントが設定する「ゴールドマン・サックス社債/ROBOPRO戦略ファンド2026-10」を発表した。愛称は「ロボっとプラス4」。有価証券届出書は2026年9月15日に提出され、10月1日から募集が始まっている。
この商品は、ROBOPROのポートフォリオをそのまま買う仕組みではない。ルミニスⅡ・リミテッドが発行する円建て債券、いわゆるゴールドマン・サックス社債に投資し、運用は「安定運用部分」と「積極運用部分」に分かれる。
安定運用部分では社債へ高位に投資し、円ベースで元本確保を目指す。一方の積極運用部分では、ROBOPRO戦略VT5指数に連動した実績連動収益を狙う設計だ。
ここで気をつけたいのが、「元本確保を目指す」と「元本保証」は別物だという点。設定日から約6年後の償還価額が元本を上回る投資成果を目標にしているものの、金融商品である以上、損失リスクがなくなるわけではない。
商品名に安心感があっても、手数料や債券の発行体リスク、途中換金の条件は確認しておきたい。

7資産にAI予測を使い、リスクは年率5%程度へ
ROBOPRO戦略VT5指数は、FOLIOがAI予測を使って算出した資産配分をもとに、ゴールドマン・サックス・インターナショナルが年率リスク5%程度になるようリスクコントロールを加える。
実質的な投資対象は、世界の株式、債券、リート、金を含む7資産。投資比率は最大150%程度とされている。
この設計でおもしろいのは、AIを「どの銘柄を買うか」だけでなく、資産クラス間の配分にも使っていることだ。
株式が強い局面では株式の比率を高め、相場が不安定になれば債券や金などへ配分を動かす。もちろん、AI予測が毎回当たるわけではない。それでも、人間の勘だけに頼らず、複数の資産を定量的に見直す仕組みを商品化した点には意味がある。
FOLIOはこれまでもROBOPROや、SBI岡三アセットマネジメントの「ROBOPROファンド」「SBI岡三 NASDAQ AIアクティブファンド」などでAI投資戦略に関わってきた。
今回の商品は、ロボアドの運用ロジックを、より伝統的な投資信託の形へ広げる動きといえる。
AIチップ株の次は、製造装置と先端パッケージング
海外では、REX Sharesが「REX AI Chipmaking ETF(CHIP)」を開始した。
名前だけ見るとAIチップメーカーに投資するETFに思えるけれど、焦点はチップそのものではない。半導体製造装置、先端パッケージング、計測機器など、AIチップを作るための供給網に投資するテーマ設計だ。
NVIDIAのような設計企業は注目されやすい。一方で、製造装置や検査機器がなければ、高性能チップを量産することはできない。
AIへの投資需要が続くほど、裏側の製造基盤にも資金が流れやすくなる。AIブームを「アプリ企業の成長」だけでなく、「工場と設備への投資」として見る視点が出てきたわけだ。
ただ、テーマETFは分かりやすいぶん、期待が価格に織り込まれやすい。半導体設備投資は景気循環の影響も受けるため、AI需要が伸びてもETF価格が一直線に上がるとは限らない。
中身の銘柄、地域分散、経費率を見ずに「AIだから買う」と決めるのは、少し危ないと思う。

香港・韓国でもAI投資の金融インフラが動く
ICBC UBS Asset Management Internationalは、Solactive G2 AI Economy Select Indexに連動する「ICBC UBS HK-Global Artificial Intelligence ETF」を立ち上げた。
香港とグローバルのAI関連株へ、地域をまたいでアクセスする商品だ。日本や米国だけを見ていると気づきにくいけれど、アジアの運用会社もAIテーマ商品の取り込みを急いでいる。
韓国では、Meritz Securitiesの次世代投資プラットフォーム「MOUM」の立ち上げをWebullが支援した。
独自のVega AIツール、投資家コミュニティ、米国株市場へのアクセスを組み合わせる構成で、証券会社のアプリにAI機能を組み込む事例になっている。
ここまで来ると、AIは投資対象であるだけでなく、投資判断を支えるUIや分析機能にもなっている。
商品を選ぶ。ニュースを読む。投資家同士で情報交換する。そうした一連の流れにAIが入ることで、証券サービスそのものの競争軸が変わりつつある。
僕としては、収益性だけでなく、AIがどの程度の説明責任を果たすのかも見ておきたい。
AI投資は「何を買うか」より、仕組みを読む段階へ
今回の4つの動きを並べてみると、AI投資の選択肢がかなり広がっていると分かる。ROBOPROはAI予測を資産配分に使い、CHIPはAIチップの製造基盤へ投資する。香港のETFは地域をまたいでAI企業を束ね、韓国のMOUMは投資体験そのものにAIを組み込んでいる。
どれも魅力的に見えるよね。ただ、共通しているのは「AI」という看板だけで判断しないことです。運用対象、リスク管理、手数料、換金条件、為替の影響、元本割れの可能性まで確認して、やっと比較できる。
AIが使われているから安全。AI関連だから上がる。そう単純な話ではありません。
僕なら、まず商品説明書でAIがどこまで担うのかを確認します。予測だけなのか、それとも売買判断まで自動化するのか。リスクを抑える仕組みがあるのか。そこを読んだうえで、自分の資産全体の一部として無理なく持てるかを考える。
テーマの熱さより、仕組みの分かりやすさを優先したいところです。
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※本記事は公開情報をもとにした情報提供であり、特定の金融商品や銘柄の売買を推奨するものではありません。金融商品には価格変動、為替、金利、信用などのリスクがあり、元本を割り込む可能性があります。投資を行う際は、最新の目論見書や契約締結前交付書面を確認し、ご自身の判断と責任で行ってください。
参考:FOLIO公式プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000162.000022761.html
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